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UA値0.19!? 一条工務店で建てた約30坪住宅!UA値を低くする方法を紹介します。

2024年2月13日

一条工務店のi-smartⅡで約30坪の2階建てコンパクトハウスを建てています!我が家の省エネ・断熱性能計算結果、UA値0.19(断熱等級7)、省エネ等級6という、現状の最高レベルの住宅となりました(^^)/

どうしてこのような高い値となったのか、UA値を計算しながら解説していきたいと思います。

  

1.断熱性能等級 UA値について

UA値とは

断熱性能は住宅の快適性とエネルギー効率に大きな影響を与えます。その評価基準となるのがUA値(断熱性能等級)です。


UA値は建物の断熱性能を示す指標であり、値が小さいほど良好な断熱性能を示します。UA値が低い住宅は家の中の熱が外に漏れにくい性能が高いため、冷房や暖房時の熱の流出が少なく、省エネ効果があります。


ところで、UA値とは何をどう計算した値かご存じでしょうか。単位から読み解くと下記の通りになります。

UA値(熱貫流率[U]の平均値[Average]):W/m2・K

W(ワット):熱損失量

K(ケルビン):室内と外の温度差

㎡:外皮(外皮とは、室内と室外を隔てる壁、天井、床などのこと)

つまり、単位温度差・外皮面積あたりの熱損失量になります。熱がどれだけ逃げやすいかという性能を表しています。

熱貫流率と熱伝導率の違い

熱貫流率に似ている熱の伝わり方の指標として、熱伝導率(W/m・K)があります。

熱伝導率は1m2における温度差1K・厚み1mあたりの熱伝導量(熱損失量)になります。

少しわかりにくいかもしれませんが、熱伝導率は面積、温度差、厚みを同一条件としているので、素材としての性能を比較するときに適しています。(例:コンクリート1.6、ガラス1.0、天然木0.12、ロックウール0.052 等)

一方で、熱貫流率はその製品自体の熱の伝わりやすさを示しているので、厚みや使用している素材全てを加味して計算しています。

 
 

UA値を下げる方法

一条工務店HPより

UA値を下げるには①壁、天井、床などそれぞれの部位のU値を下げる方法と、②建物の構造を変える方法があります。


しかし、基本的には①のそれぞれの部材のU値を下げる方法になります。②については下記の記事で検証しておりますが、2階建てにするとUA値が悪くなる傾向があるという結果になっています。これは一条工務店の断熱性能の場合の検証であり、当然、①の各部位のU値に依存しておりますので、例えば『壁は断熱材を入れていないのに床は断熱材を入れている』などといった条件であれば結果は変わってきます。

オススメ

さて、①壁、天井、床などそれぞれの部位のU値を下げるとはどういうことか考えていきましょう。

U値はそれぞれの部位の熱貫流率:W/m2・Kです。


それぞれの部位の熱貫流率は、その部位に使用されている材質と厚みに影響します。


断熱性の高い材質であるほど、厚ければ厚いほど断熱性は高くなります。

kumashi

当たり前のことだけど、とっても重要。『断熱材を入れている』といっても、性能は全然違うよ。具体的に素材や数値データを聞いてみよう。


使用しようとしている部材の熱貫流率を教えてもらいましょう。天井や床は0.3、壁は0.4、窓は1.5、玄関ドアは2.0・・・など。この数値が大きく、面積が広いところは改善が必要です。


基本的には面積の大きい床、天井、壁がベースになります。これらのU値が0.3だと、UA値が0.3以下になることはありません。他の窓やドアはU値がもっと高いからです。


断熱等級7程度の断熱性が欲しい場合は、床・天井・壁のU値は0.2以下くらいが好ましいです。これらは、断熱材を厚くするだけ(高いお金はかかります)で達成することができます。なお、一条工務店のi-smartなどは標準仕様でこれより高性能です(^^)/


次に、面積の大きい窓のU値をいかに低くするか、また、面積を少なくするかが課題になりますね。


窓は一条工務店の樹脂サッシ+トリプルガラス+アルゴンガスでU値0.8くらいです。数値的にはほぼ最高レベルと言っていいと思います。


最低でも、樹脂サッシ+ペアガラス(Low-E)は欲しいですね!

その他に影響がある場所としては、土間や玄関ドアが挙げられます。これらは面積は小さいものの、断熱対策があまりなされていないことが多く寒さが顕著に出る場所でもあるので、考えておきましょう。


シューズクロークなどを設けて玄関土間を広くした場合は、特に注意が必要です。


一条工務店の土間断熱は、別の機会にお話ししようと思います(^^)/

  

2.UA値0.19 !? 我が家の高断熱住宅

我が家のポイント

我が家は一条工務店のi-smartで建てた住宅になります。


2階建てなので少しUA値が悪くなるのですが、断熱王(土間断熱+DANNJU)と窓の面積を少なくすることでこの素晴らしい数値を出しています!


まず、アイスマートなのでそもそもの壁・天井・床などの断熱レベルが高いです


具体的にいうと、壁は硬質ウレタンフォームが190㎜で0.14W/m2・K、天井は235㎜で0.13W/m2・K、床は140㎜で0.20W/m2・Kになります。


それぞれウレタンフォーム以外の部材も使われているので必ずしもウレタンフォームの厚みとU値が比例しているわけではありませんが、ベースの数値がかなり低いことは理解していただけるかと思います。


床の断熱材が少ない理由は、床下を外気として計算する場合は係数0.7を掛けるためだと思われます。そうすると、壁・天井・床すべてが約0.14W/m2・Kくらいになりますね。


あれ?そういえば、先ほど提示した図で、一条工務店の外壁は190㎜の厚みでU値は0.20W/m2・Kじゃなかったの?って思いませんでしたか?

この数値、実はHP上では枠外に小さく「外内ダブル断熱構法の熱貫流率は標準設計断面(熱橋含む)による弊社計算値」と書かれています。


熱橋(ヒートブリッジ)含むとありますので、もしかしたら断熱をしていない部分を含む平均値なのかもしれません。そのあたりはまた別の機会に計算してみようと思います。


硬質ウレタンフォームの190㎜なら0.14W/m2・Kですので、かなり高性能です。ちなみに、数年前までは0.135と記載されていたようで、これを切り上げたのか、計算方法が変わったのかどうかはよくわかりません。

窓の種類は重要なのか


窓の種類によってU値は変わってきます。


例えばサッシの種類、構造、遮熱または断熱ガラスの使用の有無、枚数、厚み、中空層の厚み、ガスの種類、窓の開き方・・・など様々です。

  

窓の構成材料による違い

窓に使われる素材の影響はすごく大きいです。

まず、窓サッシは、昔は耐久性の高いアルミ製が使われていました。しかし、今は省エネが求められているため、熱を伝導しやすいアルミではなく、熱伝導率が1/1,000以下の樹脂サッシが使われるようになっています。

また、昔のガラスはただの単層ガラスでした。今は特殊なLow-E膜を塗布したLow-Eガラスが用いられていたり、複層ガラスになって間に熱伝導率の低い不活性ガスを注入したりするなどして高性能化が進んでいます。

なお、中空層のガスは、数年前まではクリプトンガスという希ガスが使われていましたが、原産国がロシア等であり、戦争の影響で価格が高騰して窓には使われることが無くなりました。現在は、アルゴンガスが使われています。クリプトンガスと比較して少し断熱性に劣りますが、中空層を多く設けることによって従来の窓と同じ性能にしているメーカーが多いようです。


こういった様々な理由により、現在使用されている高性能窓の基本的な条件は決まってきています。例に挙げた窓であれば、高い断熱性能を有していると思われます。
例:
サッシ:樹脂サッシ
ガラス:遮熱または断熱Low-Eガラスの複層(2枚以上)タイプ
中空層:約10㎜以上
中空層のガスの種類:アルゴンガス

具体的な例として、YKKAPの遮熱Low-E複層ガラス・樹脂サッシの窓だと、熱貫流率は1.57W/m2・Kになります。

このレベルであれば、2030 年において窓に求められる性能(目標基準値)を満たすことができます(暫定値)。



ちなみに、一条工務店の窓はトリプルガラスとなっており、U値が約0.8W/m2・Kになります!すごい高性能ですね。


さらに、日本の業界で最高レベルなのはリクシルのレガリスになります。U値は0.55W/m2・K!ガラスが5枚も使われています。

  

窓の形状の違い

引き違い窓、開き窓、FIX窓など、窓の種類は様々です。


上の画像は一条工務店の窓の性能になります。引き違い窓の仕様名はJ####、FIX窓はJF####、開き窓はJK####になります。


どの数値も他社製品と比較すると非常に高水準ですが、引き違い窓は少しだけ熱を通しやすいことがわかります。


ですので、本当に高いUA値を目指すのであれば、できるだけFIX窓(開かない窓)と開き窓で構成すると良いです。

※換気に関して、建築基準法の第28条第2項においては、建築物の居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積が、居室の床面積に対して20分の1以上としなければならないと規定されています。

ですので、すべての窓をFIX窓にすることはできません。

建築士に面積を計算してもらい、窓の微調整をする必要があります。

 

やはり注目すべきは窓の大きさ(面積)

窓の面積の影響

さて、窓の面積の影響を少し考えてみたいと思います。

例えば約30坪の住宅の場合、外皮面積はおおよそ300m2くらいになります。窓などの開口部の比率を15%とすると、300×15%=45m2で窓が45m2、他が255m2となります。

窓の熱損失は0.8×45=36W・K、他が0.2×255=51W・K、UA値は(36+51)÷300=0.290W/m2・Kになります。結構高くなりますね。

窓の開口部を半分の8%にしてみてはどうでしょうか。窓は300×8%=24m2、他は276m2です。

このとき、窓の熱損失は0.8×24=19.2W・K、他が0.2×276=55.2W・K、UA値は(19.2+55.2)÷300=0.248W/m2・Kになります。

たった0.04の差かと思うかもしれませんが、断熱等級7(UA値0.20~0.26W/m2・K;地域によって異なる)を目指すのであれば、このあたりの調整が重要になってきます。

ちなみに、窓の熱損失が1.5 W/m2・Kの場合だとどうなるでしょうか。

窓の熱損失は1.5×24=36.0W・K、他が0.2×276=55.2W・K、UA値は(36.0+55.2)÷300=0.304W/m2・K

やはり、窓からの損失が大きいのでUA値も悪くなってきますね。

 

一条工務店『JF5961』の導入による影響

一条工務店にはJF5961という種類の特大FIX窓があります。その大きさはなんと165.3cm×190.0cm!窓としてはめちゃくちゃ大きいです。


この窓、昔は無料だったそうですが、今では無料→5万→8万と、どんどん高価になっていっています。私は2023年9月くらいに検討しておりましたが、その時には8万になっていました(とはいえ、他社と比べると驚くほど安いです)。


8万(電動ハニカムシェードを付けると実質10万)をオプションで追加するのはちょっときついので、高断熱住宅を作るためにはこの窓は必要ない!と自分に言い聞かせながら、採用を諦めました。


さて、話が脱線しましたが、この特大窓を採用するにあたって、どの程度影響が出るかを確認していきたいと思います。


先ほど解説した約30坪のモデルケースで簡易的に検証します。


外皮の合計面積を300m2、窓の割合を8%(24m2)とし、窓のうちJF5915(上の画像の細い窓)をJF5961に置き換えたとします。


JF5915の場合
窓の熱損失は0.8×24=19.2W・K、他が0.2×276=55.2W・K、UA値は(19.2+55.2)÷300=0.248W/m2・Kになりますね。

JF5961の場合
窓の面積が変わるので、計算していきます。JF5916は幅1.653m×高さ0.467m=0.772m2、JF5961は幅1.653m×高さ1.90m=3.14m2です。窓の面積は24+3.14-0.772=26.368m2になり、外皮は300-26.368=273.632m2になります。

よって、開口部の熱損失は0.8×26.368=21.094W・K、開口部以外の熱損失は0.2×273.632=54.726W・K、UA値は(21.094+54.726)÷300=0.253W/m2・K


うーん。差が0.05しかないので、大きな窓を入れたい人は入れた方がいいという結果になりました( ;∀;)


特大窓でこの差なので、他の窓も大きめでいいかもしれませんね。

  

我が家のUA値の内訳

我が家の窓は、『窓の種類は重要なのか』の画像の左上と右下が引き違い窓で、それ以外は開き窓もしくはFIX窓です。


ですので、開口部の面積(玄関ドア含む)は19.18m2、熱損失は14.93W/K、開口部の平均U値は0.778W/m2・Kになっています。DANNJUのおかげでかなり低い数値です。


外皮の合計は275.26m2です。2階建てではありますが、1Fリビングを少し歪に部屋を広くした分、壁が少し増えました。


開口部と他の部分の熱損失の合計は51.55W/Kですので、UA値は51.55/275.26=0.187≒0.19W/m2・Kになります!


平屋にするなど、突き詰めれば0.18も見えてきますね。

kumashi

いかがでしたでしょうか。窓の種類を考えるうえで、参考になれば幸いです。

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