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四国中央市が大王製紙のセルロースナノファイバー(CNF)を回覧板に採用!?そもそもCNFって何?

大王製紙HPより引用

2024年4月23日に、大王製紙が四国中央市に『四国中央市発足20周年記念事業』としてセルロースナノファイバー(CNF)が採用されたと発表しました。

 

本年7月より、CNF複合樹脂製の回覧板の使用が開始され、市民の皆様が日常生活で身近にCNF製品を使用できるとのことです。また、本年5月に開催予定の市発足20周年記念式典においても記念品として出席者に配布される予定だそうです。

 

ところで、植物由来の新素材「セルロースナノファイバー」とは一体どういうものなのでしょうか。

 

 

1.セルロースナノファイバーとは

SEM写真は愛媛大HPより引用

セルロースナノファイバーとは、紙に使われるパルプ繊維をナノサイズまで細かくした繊維状物質で、近年開発された新素材です。

 

紙は木材をチップ化し、さらに蒸解等によりリグニン成分を除去することで得られるパルプ繊維(繊維幅20~50μm、繊維長0.5~5㎜)を抄いて製造されます。

 

このパルプ繊維を特殊な方法でさらに千分の一程度まで細かくした繊維がセルロースナノファイバーと言われており、パルプ繊維にはない様々な効果を有しているのです。

 

2.セルロースナノファイバーの効果

セルロースナノファイバーはパルプ繊維と同じように水に分散した状態で得られますが、パルプ繊維とは全く違う性状を示します。

 

パルプ繊維は水と簡単に分離(脱水)することができますが、セルロースナノファイバーは簡単には分離することができません。

 

ナノサイズの繊維が分散しているので、見た目はデンプン糊のように白く粘度の高い液体になります。(透明なCNFもあります)

 

繊維がナノサイズなので、パルプ繊維とは違う様々な効果があります。

 

保水性、大比表面積、低線熱膨張、高粘度、高強度、軽量、ガスバリア性・・・等。

 

これらはセルロースナノファイバーのいろいろな形態で発揮される効果になります。スラリー状態であったり、乾燥した状態であったり、プラスチックに混ぜた状態であったり。1つの形態で発揮できるものではありません。

 

知りたいことがある方は気軽にコメントください!

 

 

3.四国中央市の回覧板のどこにCNFが使われているのか

大王製紙のプレスリリースによると、『複合樹脂「ELLEX-R67」』が採用されたとあります。『ELLEX』は大王製紙のCNFのブランドで、『R』は樹脂(Resin)、『67』はセルロース分が67%含まれていることを意味しているそうです。

 

すなわち、茶色いプラスチックの部分全体がセルロースナノファイバーが使われたプラスチックと考えられます。

 

実際に、プレスリリースの内容に『今回の回覧板での採用においては、当社が材料設計まで行い、材料としては樹脂単体のみと比較して1.4倍(当社調べ)の剛性を実現しました。剛性が高まった分、薄肉化し、CNF配合分との合計で約20%の減プラスチックに相当する設計で製品を完成させました。』とあります。

 

セルロース67%の樹脂をプラスチックで希釈して使用したもので、粒々部分がセルロースナノファイバーの集合体と思われます。(以前に展示会に参加させていただき、聞いたことがあります)

 

4.回覧板として採用された理由は?

先ほど記載した通り、『樹脂単体のみと比較して1.4倍(当社調べ)の剛性を実現しました。剛性が高まった分、薄肉化し、CNF配合分との合計で約20%の減プラスチックに相当する設計』とありますので、剛性(強度)アップによる樹脂量低減がメインの目的と考えられます。

 

プラスチックは石油由来ですがセルロースは植物由来の原料です。一部を植物由来に置き換えることで、プラスチックの素晴らしい性能を維持しつつ環境への配慮もできます。 

 

四国中央市としては、紙と同じ原料からでき、市の産業の将来を担う可能性のある新素材『CNF』を市民に知ってもらいたいという意図が大きいと思います。

 

自動車内装、化粧品、食品、日用品、スポーツ用途等、様々な分野に展開できる可能性を秘めている新素材になります。四国中央市では大王製紙、愛媛製紙、丸住製紙をはじめとする各製紙会社や愛媛大学紙産業イノベーションセンター、紙産業技術センター等が研究開発を進めています。

 

皆さんも注目してこの新素材を盛り上げていきましょう(^^)/ 

 

知りたいことがある方は気軽にコメントください!結構詳しいのでなんでも答えます!

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