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輻射熱や冷輻射を防ぐにはどうする?原理を知ろう!

2024年1月5日

  

悩む人

輻射熱が重要ってのはわかったけど、どう対策すればいいんだろう。調べてると、冷輻射なんて言葉もあるみたいだし、よくわかんないや。

わかる範囲で解説するね

kumashi

  

1.輻射熱/冷輻射の原理

輻射熱

輻射熱の定義

  

輻射熱とは、電磁波により熱が伝わることをいいます。

電磁波とは、電界(電場)と磁界(磁場)が相互に作用しながら空間を伝播する波のことです。

電磁波の種類を記載しました。(環境省HPより抜粋)皆さんもよくご存じの、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波などが電磁波に含まれます。

電磁波は物体に吸収されると熱に変わります。波長が短い電磁波ほどエネルギーが高く、例えば飛び交っている電波は人体に当たっても何も感じませんが、太陽光(紫外線、可視光線、赤外線を含む)は人体に当たると暖かく感じるほどの熱に変化します。

どういった物質が赤外線を放出するのか

実は、あらゆる物体が常時電磁波を放出しており、物質の種類や温度によって放出する電磁波の種類や強度は変化しています。常温域では赤外線を放出する物質が多いので、赤外線に注目して説明します。(常温域以外では、例えば金属などが溶融するほど高温になるときに発光し(高温発光)、紫外線などを放出する場合があります。)

多くの物体が赤外線を放出しているって言われても、「ホント?」って思いますよね。これをわかりやすく可視化している装置がサーモグラフィになります。

下の画像は住宅の床面のサーモグラフィ画像です(RICOH HPより抜粋)。なお、温度帯や色味は設定値ですので、測定する装置によって変わります。

  

輻射熱を体験する

輻射熱は例えば次のように体験できます。

  • 夏の暑い日に日陰に入る:気温は日向と日陰で変わりませんが、日光が身体に吸収されないので少し涼しく感じます。
  • 寒い日に日光に当たってポカポカするのは日光の輻射熱によるものです。
  • 炭火や電気ストーブなど

皆さん自身からも赤外線は出ています。ギリギリ触れないように手のひら同士を合わせてみてください。ほんのり暖かく感じると思います。手のひらから出た赤外線が、もう片方の手のひらに吸収されて暖かく感じるのです。

  

冷輻射

  

冷輻射という言葉があります。字面だけを見ると冷たいものを放出しているような印象を持ちますが、そういうわけではありません。

物体は他の物体と輻射熱による熱のやり取りをしており、このやり取りが同等だと冷たさを感じませんが、温度差が大きいと熱が奪われていくように感じてしまいます。冬の窓際や足元の寒さがこれに該当します。

  

放射冷却

  

輻射が関係している現象「放射冷却」について、ついでに説明しておきます。 冬の天気予報でよく聞く現象で、天気の良い日の深夜から明け方にかけて大きく冷え込み、日中との寒暖差が大きくなるときに説明されることが多いですが、実は放射冷却という現象自体は毎日発生しています。

悩む人

なんで冬の晴れの日によく聞くのかな。

まず地球で行われている輻射について知る必要があるね!

kumashi

地球には様々な電磁波(紫外線、可視光線、赤外線等)が含まれている太陽光が降り注いでおり、地表が暖められます。すべての物体は輻射熱を放出しているため、当然地表からも輻射熱が出ており、これが空気や建物などを暖めます。夜になると太陽からの輻射熱の供給が無くなるため、輻射熱が宇宙に戻るだけになってしまい、地表の気温もどんどん下がります。

しかし、地球の大気中に含まれる様々な物質が、この輻射熱が宇宙に戻ることを邪魔しています。例えば水分子。湿度の高い日本では空気中にたくさんの水分を含んでいます。これが輻射熱を吸収するため、湿度が高い夏は気温が下がりにくくなります。雲など地表を覆っているものは、輻射熱を吸収・放出するため、天気の悪い日も気温が下がりにくいです。 さらにいうと、CO2などガスは、地球を覆って輻射熱を吸収・再放出して地表をいい塩梅に保温しています。温室効果と呼ばれる所以ですね。CO2が多くなると、輻射熱も多くなり、保温が過剰になるわけです。ちなみに、砂漠は水分がほぼ無い砂で覆われていることと、空気が常に乾燥していることから、夏期は夜間の 7℃から日中には 43℃にまで達することもあります。すごい温度差ですね。

  

2.輻射熱/冷輻射を防ぐ方法

Low-E 複層ガラス(ペアガラス)

  

Low-EとはLow Emissivity の略で、意味は「低放射」になります。

ガラスの片側の表面に特殊な金属膜を形成しており、太陽の輻射熱を低減する働きを強化したガラスです。

遠赤外線(床暖房など)吸収・反射タイプ(断熱タイプ)と近赤外線・遠赤外線両方(太陽光に多い)吸収・反射タイプ(遮熱タイプ)があり、場所に合わせて使い分けられます。夏の直射日光が厳しい南側や西側は、遮熱タイプが用いられることが多いようです。

これらの特殊なガラスは若干色がついているため、インテリア等にこだわりのある方は注意が必要です

近年、省エネ化ということで断熱性能の向上が求められており、断熱性が特に低い窓が見直されています。新築では多くのハウスメーカーで複層ガラスが用いられ、特に断熱性にこだわっている一条工務店ではトリプルガラスが用いられています。

リフォームで取り付ける場合は、サッシを含めて交換しなければいけない可能性が高いです(特に、アルミサッシなどは断熱性が低く結露の元となるため変えた方がよい)。高額となる可能性があるため、注意しましょう。

  

簡易的な方法

遮光カーテン

遮光カーテンにより太陽光を反射し、冷暖房効果を向上することができます。

遮光性能の高い遮光1級カーテンもしくは完全遮光カーテンがオススメです。突っ張り式のロールカーテンやハニカムシェード等もいいですね。

  

  

すだれ

窓の外側にすだれを付けるのも夏の輻射熱を防ぐ1つの手段となります。

竹や葦のすだれは時間が経つとすだれ自体が熱くなって輻射熱を放出するので、水をかけるなどして温度を下げる必要があります。

最近では、アルミ製のすだれなども販売されています。

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