法皇山脈の中央部ある翠波峰(すいはみね)からアヤメ池の方面へ下っていくと、水波大権現が祀られている社がある。宇摩地方(四国中央市)は昔から干害に見舞われることが多く、水の神であるこの神社に雨乞いをしてきたという。この雨ごいの名残として、現在でも毎年7月15日頃に市指定無形文化財「水波踊り」が開催されているそうだ。
水波大権現はかつて荒廃していたそうだが、大王製紙初代社長の井川伊勢吉氏を筆頭に修復されたようで、階段横に各製紙会社が記名されている石碑が立ち並び、手すりやベンチなども設置されている。
製紙業界は水が非常に重要であるため、毎年、大王製紙をはじめとした各製紙会社の社長や役員がこの水波権現に祈りにくるそうだ。そのため、最近になって鳥居前までの道も整備され、車で近くまで行けるようになった。鳥居近くは、わずかな木漏れ日とひんやりとした空気が神聖な雰囲気を醸し出しており、不思議な気持になる。
なお、水波権現は翠波峰登山道の一部となっている(トップ画の奥が頂上への道)他、社の裏は金砂湖を望める屈指の写真スポットとなっており、また、6月初~中旬はクリの花が咲くため、昆虫採集のスポットにもなる。四国中央市に住んでいるのであれば、一度は訪れておきたい場所だ。