子育て

新米パパ必見!危険な方法で作ってない?粉ミルクの作り方と注意点!

2024年1月8日

粉ミルクの注意点

  

kumashi

粉ミルクをお湯で溶かすのはなんでだろう?って思ってたけど、重要な理由があるんだね。

新生児は特に注意しなければいけないよ!

  

1.粉ミルクの正しい溶かし方(調乳)

手順① 十分に洗浄した哺乳瓶・乳首を使う

哺乳瓶や乳首は十分に中性洗剤で洗浄し、十分に消毒したものを使用しましょう。ミルクの飲み残しは数十分でどんどん雑菌が増殖するため注意が必要です。


ぬるいミルクは栄養満点で雑菌が増殖しやすい温度であるため、授乳後は直ちに洗浄するようにしましょう。洗浄できない場合は、水道水につけておく方法が効果的です。


新生児は免疫機能が十分でないため、少量の菌でも体調を崩す恐れがあります。

  

手順② 70℃以上のお湯で粉ミルクを溶かす

粉ミルクは70℃以上に加熱したお湯で溶かしましょう。沸騰したお湯でも問題ありませんが、火傷に注意する必要があります。また、哺乳瓶を振ってミルクを溶かすときに、哺乳瓶の内圧が上昇してミルクが噴き出る場合があります。


70℃以上に加熱したお湯を冷まして溶かすのはNGなので注意しましょう。


熱湯だと、栄養素が壊れるって聞いたけど?というコメントがたまにありますが、熱で壊れることを見越して十分な量の栄養素が粉ミルクに含まれているので問題ありません(ビタミンC)。


入れるお湯の量は、所定量もしくは所定量の2/3程度にしましょう。所定量の2/3程度にすることで、ミルクを冷ます時間を短縮できます。


ミルクが全て溶けたことを確認してから、冷ます手順に入りましょう。

  

手順③ ミルクを飲みやすい温度に冷ます

ミルクを飲めるくらいの温度(30~38℃)に冷ましましょう。触ってほんのり温かいもしくはぬるいくらいで問題ありません

 
熱すぎると火傷をする可能性があるので注意が必要ですが、少し温度が低いというのは大丈夫です。海外では温めないところも多いんだとか。


冷ます方法としては、哺乳瓶を流水をあてるか、冷水又は氷水の入った容器に入れましょう。このとき、中身を汚染しないよう、冷却水は哺乳ビンのキャップより下に当てるようにする必要があります。哺乳瓶を振りながら冷やすと、温度ムラが無くなるので温度調整しやすいです。

    

2.ぬるま湯はダメ?サカザキ菌に注意!

ミルクを温めるのは飲みやすい温度にするためではない

kumashi

最初の方はこの事実を知らなかったので、粉ミルクを溶かした後に加温していました。早い段階で気付いてよかった!

  

粉ミルクを70℃以上に加熱したお湯で溶かすのは「サカザキ菌」や「サルモネラ菌」などの有害な菌を殺菌することを主たる目的としています。ですので、下記の行為はやってはいけません

  • 70℃以上に一度加熱したが、ぬるくなったお湯を用いて粉ミルクを溶かす
  • 粉ミルクを水に溶かした後に30~38℃に加温する
  • 大量の粉ミルクから調乳する(冷却に時間がかかり、菌が増殖する恐れ)
  • 調乳したミルクを、時間をおいて与える(加温したミルクは雑菌繁殖の理想条件)

 

製造時に菌が入らないようにしてよ!って思いますが、残念ながら現在の製造技術では、商業的に滅菌された乳児用調製粉乳を生産することが不可能ですので、70℃以上のお湯で溶かすことを推奨しています。

  

サカザキ菌の症状と感染リスク

サカザキ菌とは

クロノバクター・サカザキ(Cronobacter sakazakii)はヒトや動物の腸管、食品や自然環境に広く分布する細菌です。腸内細菌の研究で世界的に知られていた坂崎利一博士の功績をたたえ、サカザキの名前が付けられました。

菌が含まれる食品の成分などにより耐熱性が変化し、6℃〜47℃で増殖が可能です。また、乾燥した環境下でも長期間生残するとの報告もあります。

  

健康被害

サカザキ菌は健康な人の腸管内にも存在しますが、健康被害が起こるリスクは少ないとされています。しかし、乳幼児、特に未熟児や免疫不全児、低出生体重児は感染すると敗血症や壊死性腸炎を発症することがあり、重篤な場合には髄膜炎を併発し、死亡したり、重度の神経学的後遺症が残ったりする場合があります。


1958年に問題視されて以降、世界各地で乳児を中心に壊死性腸炎、脳膿瘍および敗血症などの症例が報告されているそうです。2020年に公表された米国疾病予防管理センター(CDC)の研究報告によると、1961年〜2018年に、世界中で183人の患者が確認されています(うち、日本は2人)。

食品安全委員会HP参照

kumashi

感染して発症した場合の健康被害は相当重篤だね。

HIV陽性の母親から生まれた新生児は粉ミルクが必要だからリスクが高いね。

 

海外での発症事例

厚生労働省のHPによると、「2004年フランスでは9人が発症し、乳児2人が死亡した。そのうち8人は低出生体重児(<2 kg)の未熟児で起き、1件は、37週間目で体重3.25 kg で生まれた乳児が感染した。」とあります。また、これらの発症関与した病院の業務状態を調査したところ、下記の通り哺乳瓶やミルクの管理が不十分との結果も出ているそうです。

  • 調乳、及び哺乳ビンの取扱いや保存が奨励された方法で行われていなかった
  • 調乳済みの粉ミルクを温度調整やトレーサビリティ機能のない家庭用冷蔵庫で、24時間を超えて保存していた。
kumashi

先進国でも、管理方法を間違えると感染する可能性があるんだね。

下に、海外の感染事例一覧の引用を載せておくよ。→引用元はこちら

  

  

日本での発症事例

日本ではサカザキ菌による健康被害がこれまでに3件報告されています。

  • 2007年 多発性脳膿瘍(極低出生体重児)
    伊吹 圭二郎, 橋田 暢子, 市村 昇悦, 五十嵐 登, 畑崎 喜芳:Enterobacter sakazakii による多発性脳膿瘍をきたした極低出生体重児の一例。日本周産期・新生児医学会雑誌(Journal of Japan Society of Perinatal and Neonatal Medicine )2009;45 (1),:129-133
  • 2009年 敗血症(超低出生体重児)
    寺本知史, 田邊行敏, 岡野恵里香, 小林正久 :Enterobacter sakazakii による敗血症をきたした超低出生体重児の 1 例. 日本周産期・新生児医学会雑誌2009; 45:718
  • 2021年 菌血症を伴う肺炎(先天性心疾患を持つ極低出生体重児)
    横山 浩子, 児玉 祐一, 高橋 宜宏, 岡田 聡司, 久保田 知洋, 上野 健太郎 他:Cronobacter sakazakii による菌血症を伴う肺炎を発症した乳児。日本小児科学会雑誌2021; 125(6): 936

このうち、先2件は感染経路は明らかとなっていないとの報告でしたが、粉ミルクからの感染の可能性は低いとの記載もありました。

2021年の1件は、調製粉乳(粉ミルク)からは本菌の検出はなかったと報告しています

kumashi

日本では粉ミルクからの感染事例は無いんだね!(2024年1月現在)

粉ミルクや哺乳瓶などを適切に扱っていれば、元気な赤ちゃんなら感染リスクはかなり低いのかな。

 


国内製品におけるサカザキ菌

国内製品の汚染調査および製造方法の確認結果があります。

  • 2005~2007年度に市販のPFI(粉ミルク)および類似食品で汚染調査を行ったところ、平均汚染率は3%であった(各年100検体、平均3件検出)。また、検出されても検出限界値であった(2007年度)。
  • 海外で本菌混入の原因となると指摘されている、「粉と粉を単純に混合して最終製品にする工程」は「各成分溶解混和後、加熱処理して乾燥する工程」に改善している。一部工場では粉を混ぜる工程が現存するが、管理が徹底されている。
kumashi

海外では汚染率14%という数値も出ています。

日本の製品の方がしっかりと管理されているんだね。

  

哺乳瓶などの容器にも注意

サカザキ菌はヒトや動物の腸管、食品や自然環境に広く存在しています。ラテックスやシリコン及びステンレス鋼のような、一般的に、乳児の哺育器具に使用される表面部分に付着し増殖することも示されているそうですので、使用前は十分に消毒するようにしましょう。

  

3.まとめ

  • 粉ミルクにはサカザキ菌という菌が含まれている。
  • サカザキ菌は70℃以上で滅菌されるので、粉ミルクは70℃以上のお湯で溶かす必要がある。
  • 哺乳瓶なども洗い残しの無いように注意する。

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